やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 8話(前半) 考察
やっはろー
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」2期8話(前半)
の考察をしていきます。
以下多分にネタバレを含みます。
寄り道
平塚先生の車って左ハンドルなんですね。ますます男前になっているような気がします。こういう人は絶対運手うまいんですよね。絶対。
平塚先生の愛車に乗せられて寄り道をしています。美浜大橋ってところに来たみたいですね。平塚先生は普通に路駐していますが、車来ていないから大丈夫なんでしょうか?
というか、比企谷も高校生だしそこまで遅い時間ではないから、車とか人通り多いと思うんだけど? 案外少ない地域なのかな。
交通量はいいとして、平塚先生と比企谷第一声に注目。
平
「かっこつけてるからな」
確かにかっこよかったし様になっていた。たいていの人はワザとかっこつけようとするとダサくなるのにもかかわらず平塚先生はかっこよかった。つまり、男前。漢の中の漢。
平塚先生が臆することなく堂々と言ってのけたので比企谷も少したじろいでいました。この「カッコつけている」というセリフは2期7話で比企谷が言っていたセリフでもありますね。
比企谷は自分への評価として「ただかっこつけているだけ」と言っていました。同じ「カッコつける」のでも平塚先生と自分との差に気おされているのかもしれません。
ここからは平塚先生のありがたいお言葉が続きます。
心して聞くように!
現状を聞かれた比企谷がぽつりぽつりと話し始めます。要点だけまとめるとこんな感じです。
- いろは・玉縄は自分のせいで失敗するのが怖い。
- 責任分散のために人の意見を取り入れる。
- 結果的に停滞している
- トップと責任者を決めなかったことが根本原因
さすがは比企谷先生ですね。会議で起こっている問題を簡単にまとめてもらいました。この分析に関しては平塚先生も満足したみたいです。
平
「けれど、感情は理解していない。心理と感情は常にイコールじゃない。ときにまったく不合理に見える結論を出してしまうのはそのせいだ。・・・だから、雪ノ下も由比ヶ浜も、君も、間違えた答えを出す」
(中略)
「だがまぁ、本質はどちらも同じだ。問題の根っこは一つなんだよ。・・・心だ」
「常に、心理=感情ではない」にはハッとさせられましたね。心理とは「心の理【ことわり】」であって心に関するルールのこと。だから、論理的に考えることができればある程度は予想できる。今回の合同イベントも比企谷は心理を読み解くことで、その問題点を浮き彫りにした。
でも感情に共通したルールはない。ある出来事に対して人々抱く感情は様々で予想がつかない。相手に抱く感情の種類によっては、あらゆる出来事の認識やその後の行動さえも捻じ曲げてしまうことすらある。
平塚先生のいう「雪ノ下も由比ヶ浜も、君も、間違えた答えを出す」というのは、それぞれがお互いのことを大切に思っているにもかかわらず、お互いの距離感を図りあぐねている様子を指しているのでしょう。
ラノベでは、心理と感情に関しての比企谷の思いが書かれていました。
比
メリット・デメリット・リスク・リターンで考えるものならわかる。それは理解できる。(中略)理論をもって説明できる。
けれど、そうでないものは難しい。
損得勘定を抜きにして、論理も理論も飛び越えた人の思いは想像しずらい。手がかりが少なすぎるし、何より、今までまちがえすぎだ。
(中略:好意とか友情とかあるいは愛情だとか)
もし・・・。もし、仮にそれが正しかったとしても。
俺はそれを信じ切れる自信がない。
比企谷のこの考え方にはとっても共感できます。メリット・デメリット・リスク・リターンがある場合は、相手の行動をある程度は予想できます。つまり、相手が行動に対しての保証があるということ。言い換えると、担保された感情に基づく行動は予測しやすいということ。
でも、そういうものが何もな場合、好意とか友情とかあるいは愛情だとかっていわれるとそれを保証するものが何もない。一体、何がそれらの感情を保証するのだろう?
例えば、存在。好意・友情・愛情などの感情を保証するものは相手の存在であるとしよう。この仮定のもとなら、それらの感情が生まれることも説明がつく。その人がいるからその人を好意的に思い、友情を感じ、愛情も生まれるのでしょう。
ただし、この仮定には自分で自分の存在を認めることも含まれているのではないだろうか。好意・友情・愛情のような感情を人に向けるときはその人の存在が保証になるが、反対に自分にそういた感情が向けられる場合、自分自身の存在が相手から向けられる感情の保証になっているということを認める必要がある。
なら、比企谷はどうだろう。今まで間違ってきた人間は自分の存在を認めることができるのだろうか? 自分を相手にとって価値のある存在だと受け入れられるのだろうか?
もし、比企谷にも過去にそういう経験があれば今回も相手の感情を受け入れられたかもしれない。ということは、この仮定において、相手からの無担保な感情を受け入れるには、自身の存在を認めるような経験が必要だということ。
好意・友情・愛情のような不均衡つり合いの感情を担保するためには自分自身の存在を認める必要があり、また、認めるためにはそういった感情を受け入れる必要がある。
なんだか、鶏が先か卵が先かみたいな論調になってきましたね。一般的には心理とか感情とかを考えないくらい小さいころから、他人と触れ合うことで好意・友情・愛情に触れ、自身の存在を認めていくというのが主流な気がします。
今思うと、そのそも好意・友情・愛情といった感情を不均衡つり合いとしているところが間違っているのかもしれませんね。プラスの感情はもろくて崩れやすく、マイナスの感情は安定しているという前提が違っている。
間違っているのだとしても、そうやって判断してしまうのは自分が傷つくのが怖いからなのかもしれません。
さて、平塚先生とのお話に戻しましょう。
口ぶりからするに、平塚先生も雪ノ下が生徒会長をやりたかったのかもしれないと疑っているようですね。そして、比企谷もそのことに気づいたのではないか、だから雪ノ下を生徒会関係から遠ざけようとしているのではないかと見ている。
さすがに、ここまで鋭い指摘をされると比企谷も動揺を隠せません。
そのあとも平塚先生は続けます。そして丁寧に答えまで教えてくれました。「ヒントをやろう」とか言いつつ全部言っちゃうんですね。
平
「なぜ傷つけたくないかこそを考えるべきなんだ。そして、その答えはすぐに出る。—―—大切なものだから、傷つけたくない」
(中略)
「誰かを大切に思うということは、その人を傷つける覚悟をすることだよ」
もっとも、平塚先生はここまで行っても、比企谷がそれを自分の答えだと認識しないことも見越していそうですけどね。
「大切に思う=傷つける覚悟」ということを理解するにはもう少し時間がいりそうですね。平塚先生が言ったのは「(自分が)誰かを大切に思う」と気のことでしたが、逆に「誰かが自分を大切に思っている」ことを認めたときには、自分がその人から傷つけられることを覚悟するということなのでしょうか。
平塚先生との会話で比企谷の感情が漏れているセリフがありました。
比
「・・・それってきつくないですか」
いくらお互いに相手のことを思っていてもどうにもならないこともある。それに対して比企谷は「きつい」と思っている。相手のことを思って行動したことを誇れるだけの自信がない。
お互いがそれぞれ思いあっているという確証もないまま行動した結果、何も得られなかったときに自分の行動を意味あるものだったと思うことができない。そういう気持ちの表れなのでしょう。
比企谷の場合はお互いの思いに確証がないというより、その確証を信じ切ることができないという表現のほうが適切かと思います。
平
「この時間がすべてじゃない。・・・でも、今しかできないこと、ここにしかないものもある。今だよ、比企谷。・・・今なんだ」
「考えてもがき苦しみ、あがいて悩め。———そうでなくては、本物ではない」
ここでオープニング「春擬き」の歌詞につながるんですね。よくできてますね~。平塚先生の「今なんだ」の言い方には、優しいながらも比企谷に伝えようとする力強さが込められているように感じました。
道を変えるのなら
今なんだこんなレプリカは いらない
本物と呼べるものだけでいい
探しに行くんだ そこへ
2期のオープニングが伏線になっていたんですね。あまり伏線とかには詳しくないんですが、こういうのってよくあるんでしょうか? そもそも主題歌を作っている人が原作を読んでから作っているのか、すでにできている曲を主題歌にあてたのかで変わってきますよね。
今回は原作をよんで作ったのだと思います。「レプリカ」とか「本物」とかも入っているのが決定的ですね。
平塚先生のセリフに戻ると。「本物」という言葉があります。比企谷が「本物」「偽物」と口にすることはありましたが、それを平塚先生の前で発したことがあるのかが怪しいですね。
1期の冒頭から、上っ面だけの青春ごっこを否定する傾向があることを考えると、形だけの関係を忌み嫌う性格は理解できなくもないですが、ここまで比企谷の探し求めているものをピンポンとで当てられるとぐうの音も出ないですね。
朝日
帰宅し、比企谷は一人で思案に暮れます。生徒会選挙のときは小町に助けを求めましたが、今回は夜通し一人で考えているようです。
矢継ぎ早に比企谷の言葉が出てきているのが苦悩している様子を表しています。明け方まで考えてようやく答えが出たようです。
比
欲しいものがあったから。
ここからは比企谷の欲しいもの、つまり本物を探すことになるのでしょう。自分にも本物がある可能性を認めたことになります。窓際に立つ比企谷を明るくする朝日が、今後の展開を明るいものであると予感させます。
今回はこの辺で
さようなら。