やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 12話(後半。続) 考察
やっはろー
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」2期12話(後半。続)
の考察をしていきます。
以下多分にネタバレを含みます。
成長
お料理教室をのぞきに来た平塚先生からのお言葉です。
平「歩いている最中は進んだ距離を振り返らないものさ。もっとも、歩みを止めてしまった者からすると、進んだ距離の分だけ裏切られたようにも感じるのもだが・・・」
「今、近い場所でこの光景を見られてよかったよ。・・・いつまでも見ていてはやれないからな」
前半部分は、比企谷をはじめ奉仕部の部員が成長していることを評価しているようですね。前回の橋の上でのアドバイスといいよく生徒を見ている先生です。
この部分からは、成長していることを認めている印象のほかにも感じたことがあります。それは、「歩いている最中は進んだ距離を振り返らない」という部分の裏を返すと、「どれだけ進んだかを気にしているうちは歩いているとは言えない」ということなのではないでしょうか。
過去のことにとらわれずにこの先どうなりたいかを意識して、今の在り方を変えていることに必死になることが成長するということなのかもしれませんね。
つまらない本物
由比ヶ浜のチョコを味見するとき悲壮な覚悟をしている比企谷。でも、雪ノ下が手伝ったこともあって異常なく完食できた模様。その姿に安心したのか由比ヶ浜の表情も柔らかいものになります。
しかし、その様子に不満なのが陽乃です。わざとかき乱すような発言をして、3人の空気を壊していきます。
陽「それが比企谷くんの言う、本物?」
(中略)
「・・・でも、今の比企谷くんたちは、なんかつまんない。私は・・・、前の雪乃ちゃんの方が好きだな」
やっぱり陽乃の意図が分からないんですよね。どういう結果を望んでいるのか? 比企谷の言う本物を陽乃はどんなものだととらえているのか? 前の雪ノ下って?
今の奉仕部は3人で仲良くやっています。修学旅行での一件から生徒会選挙、合同イベントなどを経て、距離感はより一層縮まったと思います。
でも、陽乃はそれを良しとしない。
ただ仲良くやっていることに不満なんでしょうか。雪ノ下がボールを落としてしまったときの3人の動揺する様子を見て、本心を隠しながらそれぞれが接していることを見抜いた陽乃は、本当のことも言えないような関係が本物なのかと問うているでしょうか。
陽乃の発言を受けた比企谷のモノローグです。
比ただ慣れていないから。経験したことがないから。だから、ただの違和感なのだと思っていた。次第に慣れて受け入れるのだと思っていた。
それでも、その違和感を、見逃してはくれなかった。
(中略)
今まで考えないようにしていたことを、雪ノ下陽乃は突きつけるのだ。
それは信頼などではない。もっとひどいおぞましい何かだと。
奉仕部の関係は第一に部員ですが、はたから見れば友達でしょう。楽しそうに話す様子や会話の中でも役割が決められているかのようにそれぞれが振る舞っているのは、気心が知れている表れだと思います。
でも、この3人は本当に友達といえるのでしょうか。比企谷の感じている違和感はほかの2人も感じているのかもしれません。雪ノ下がボールを落とした時に見せた、3人の何かを隠しているようなしぐさが、本物の関係から遠ざけているように見えます。
そういった状況にもかかわらず、お互いに違和感に触れないようにしてこのまま進んでいこうとする関係に陽乃は「偽物と変わらない」と突きつけているわけですね。
ママのん
雪ノ下の家に帰るとママのんが待ち構えていましたね。車から降りてきたママのんは雪ノ下にむかって話しかけますが、その雪ノ下はというとだんまりです。
だんまりとはいっても無視しているというより、何も言い返せないというほうが正しいような気がします。
なので、この場ではママのんが一方的に話している状態。そのセリフの中にはママのんの考えが垣間見れるものがありました。
ママのん
「あなたを信じているから、自由にさせていたけれど・・・。いいえ、私の責任、私の失敗ね」
「私が悪いのかしら・・・」
この日は生徒会の手伝いがあってたまたま遅くなっただけであるにもかかわらず、その理由も聞くことなく自分の言いたいことだけをただ話していますね。
帰りが遅くなったくらいで「失敗」とまで口にするなんて、相当な毒親と見ました。自分の理想があって、それにそぐわない行動をとっていると否定するという考えなようですね。特に自分の娘たちに対してはその理想を強いてきたのでしょう。
また、理想を強いるときも相手を責めるのではなく自責の念を演出することで、相手に罪悪感を抱かせるという姑息な手段を用いるところがなんともまぁいやらしいですね。
そんなママのんに言い返せない雪ノ下を見かねて由比ヶ浜が代弁します。
由「あの・・・今日は、生徒会のイベントで、その、お手伝いを・・・」
ママのん
「そう、送ってくれたのね。ありがとう。でも、もう遅いしあなたのお家の方もきっと心配するは。・・・ね?」
この会話ってかみ合ってないように聞こえるんですが、私だけ? 由比ヶ浜は「今日はたまたま遅くなってしまった理由」を言ったにもかかわらず。ママのんは「早く帰れ」と言わんばかりです。
わざと「ありがとう」なんて言っているんでしょうね。こういう受け答えされるとメッサ腹立つんですけどね。「話、聞いてた?」って言いながらもう一回同じこと言ってあげたらママのんがどういう反応するか見てみたい。
そもそも、由比ヶ浜が話し始めたときのママのんの表情からして、聞く気ゼロだったんでしょうね。あからさまに目を細めているくらいですから。
由比ヶ浜を制圧したママのんは雪ノ下に直接攻撃します。それに対する比企谷のモノローグもあわせてどうぞ。
ママのん
「あなたには自分らしく生きてほしい・・・。でも、間違った道に行ってしまうのは心配で・・・。」
(中略)
比彼女らしさ。俺らしさ。きっと、誰かが規定した自分をずっと持っていて、それはいつもずれている。自分たちらしくありたい。けれど、その時分はいったい誰が決めたのだろう。
俺たちらしさはいつもどこかで食い違っていて。なら、本物は。本物の俺たちはどこにいるのだろう。
ここでも改めて「間違った」と表現して雪ノ下のしていることが正しくないと伝えていますね。雪ノ下のことを心配しているように見えて、本心は自分の思い通りにならないことを嘆いているのでしょう。
ママのんの発した「自分らしさ」という言葉に対する比企谷のモノローグは考えさせられますね。
ママのんのいう「あなたらしく」とはもちろん「雪ノ下らしく」という意味でしょうが、その実、ママのんの思い描く理想の雪ノ下のことを指している。でもそれは本当に自分らしいと言えるのでしょうか?
その理想に従って生きることは雪ノ下の意思ではなくママのんの理想を生きることになります。そう考えると自分というものは存在しないことになりますね。
なにをもって「自分らしい」と言えるのかは明確にわかりませんが、すくなくとも今の雪ノ下には「自分らしく」在ることすら許されていないような圧力を感じました。
雪ノ下が帰った後は、由比ヶ浜と比企谷も帰路につきますが、由比ヶ浜は比企谷の「送る」という申し出を「ずるい」として断ります。
これは雪ノ下にたいして「ずるい」ということなのでしょうね。お料理教室でみた雪ノ下と比企谷の距離感に特別な意味を感じた由比ヶ浜は、このような状況で自分だけが比企谷と一緒にいることに罪悪感を抱いたのでしょう。
律儀というか、なんというか。まぁ、現時点で3人の関係を正確にとらえているのは由比ヶ浜だけということですかね。
それと、エンディングがしんみりバージョンになっていましたね。
では、さようなら。