やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 5話(後半) 考察
やっはろー
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」2期5話(後半)
の考察をしていきます。
以下多分にネタバレを含みます。
ヤシマ作戦2
いろはの説得に成功した比企谷は奉仕部の部室へと向かいます。対いろはより対奉仕部のほうが比企谷にとっては大仕事ですね。つまり、こっちが本当のヤシマ作戦。
最初、部室での3人のやり取りは平行線でした。雪ノ下は比企谷に強気に行くし、由比ヶ浜も頑固に立候補を決めている。由比ヶ浜が普段とは違う表情からなのか雪が心配そうに見ていてます。
いつも笑顔で雪ノ下にくっ付いてばかりいた由比ヶ浜のこの表情は、この場にいる全員が初めて見るものだったのでしょう。
その様子を見ていた比企谷から「選挙に出る必要はない」と言われている2人。ただ、雪ノ下が相変わらず否定的です。
でも、比企谷の言い分は「いろはが生徒会長をする」ということなので、それはそもそもの依頼がなくなったことを意味しています。だから、2人が動く必要はないといいたいのでしょう。
比企谷の話の流れは、いろはの推薦人名簿を見せてその数の多さといろはが支持されている&いろはが会長をするという現実を認識してもらったうえで、雪ノ下と由比ヶ浜に選挙から手を引いてもらうというものですね。
比企谷はいろはとの交渉と奉仕部での説得で嘘をついています。それは、いろはの推薦人は架空のものであるということ。ツイッターで異なる8人分の応援アカウントを作って、交渉にあたる前日にそのすべてのアカウント名と「一色いろは応援アカウント」に変更している。
だから、比企谷がいろはに書かせた推薦人名簿に並んでいる人たちは、いろはを応援するという意志ではなくほかの誰かを応援するはずの人たちということですね。そして、そのいろはに書かせた名簿をもとに雪ノ下と由比ヶ浜の説得に当たります。効率いいな。
でも、雪ノ下も由比ヶ浜も気づいているような雰囲気でしたね。特に由比ヶ浜はスマホにまで手をのばしていたので、確実に気付いている。
ところで、由比ヶ浜はガラケーからスマホに乗り換えたのですね。1期ではデッコデコのガラケーを持っていたのに。時代の変化を感じます。
スマホはさておき。比企谷の説明で納得したというか、引き下がるほかない雪ノ下が意味深なことを言っていました。
雪
「わかるものだとばかり、思っていたのね・・・」
これはいったいどういう意味なんでしょうか。「わかる」とは何を指しているのか。最も単純なのは雪ノ下の気持ちです。実は生徒会長をやりたかったというもの。そういう本心があったのに言えずにいたのでしょうか。
それとも、今回の比企谷のやり方も今までと変わっていないことを嘆いているのでしょうか。今回の比企谷の手法は表立って叩かれるようなものではないですが、バレたらたたかれます。それに「問題は問題にしない限り、問題にはならない」と言っていましただ、問題にするのは誰とも限らないわけです。
その辺の人が提示した問題が広がっていく可能性だってある。そうなると犯人探しが始まる。ツイッターの特性上、犯人の特定は不可能に近いとしても比企谷が間接的に責められていることに変わりはないですからね。
この雪ノ下の発言は今後もネックになってきそうですね。
先生に選挙関連の報告のために部室を後にする雪ノ下。報告の相手が平塚先生なら雪ノ下の選挙に対する意思を聞かれそうですよね。だから「一人でいい」といったのでしょうか。今後、この時の会話が明かされるかが気になります。
残された比企谷と由比ヶ浜の会話に印象的なものがありました。
比
「別に何もしてない」
由
「・・・そだね、見えるところでは何も、してないね。けど、見えてたらさ、結構嫌なことやてるんだと思う。たぶん、ヒッキーのやり方って、変えようと思って変えられるものじゃないから。・・・罪悪感って消えないよ」
これは確実に比企谷のやったことに気づいていますね。そして今回も褒められた手法ではないことにも気づいている。そのことを指摘されて瞳孔が開いて・・・三白眼過ぎて瞳孔がどうなっているかまではわからんな。でも、びっくりはしているみたい。いつもより目が大きいから。
その後も「私は何もできなかった」と続ける由比ヶ浜。自分は何もできなかったという後悔があるのと同じように、比企谷にも今までと同じような決して正当とは言えない手法をとったことに対する罪悪感があると言っているのですね。
消えない罪悪感に蓋をして、見て見ぬふりをすることが自分自身を蝕むことになり、そんな姿を見ているほうも心が痛んでいるのではないでしょうか。
由比ヶ浜にとって比企谷はヒーローですが、比企谷は自分のことをヒーローだなんて思ていない。由比ヶ浜の犬を助けたのだってこれまでの依頼を解決してきたことだって、比企谷は自分にできることをしてきただけ。自分にとれる選択肢の中から適切なものを選んだ。
しかし、その選択が由比ヶ浜にとってのヒーロー比企谷のものとはかけ離れていた。もっと他に選択肢があるのに、それを見ようとも考えようともしない。そんな比企谷を嘆いているようにも感じ取れます。
由
「これで、ちゃんと元通りになるよね」
比
「・・・わからん」
(問題を与えられなければ、理由を見つけることができなければ、動き出せない人間がいる。俺は何か間違えたのではないか、その疑念だけが残った。
由比ヶ浜が心配そうに元に戻れるか確認しています。それに対する比企谷の返答は「わからない」です。これまでも何かにつけて「わからん」ということはありましたが、今回のは意味が違う気がします。
このシーンで入った回想シーンで雪ノ下の発言に注目すると。生徒会長を自分がする理由の発言が目立ちました。奉仕部の活動はハードではないことや「やっても構わない」という発言に加えて生徒会選挙の規約まで知っていたことから、もしかしたら本当は生徒会長をしたかったのかもしれないという可能性が高まってきましたね。
もしそうなら、奉仕部存続のために雪ノ下を生徒会長にしないという比企谷の選択は間違っていたことになります。おそらく比企谷の「わからない」という言葉には、今後の奉仕部のことはもちろん含まれているでしょうが、自分の設定した目標が正解だったのか”わからない”という意味も含まれていそうです。
そして外せないのが比企谷のモノローグです。理由がなければ行動できない人とはまさに比企谷のことですよね。今回だって小町に理由をもらってのことですから。なら、雪ノ下もそうだったのかもしれないと考えているのでしょう。実際、そうだと思います。
なら、ますます雪ノ下は生徒会長をやりたかったのかもしれませんね。今までは陽乃の真似をしていると思われた雪ノ下ですが、真似をしたかったのではなく本当はしたいことがあっても陽乃がしていないという理由で一歩踏み出せずにいたということかもしれません。
ラノベにはもっと核心を突いた文章がありました。
比
きっと本物が欲しくて、それ以外にはいらなかった。
何も言わなくても通じて、何もしなくても理解できて、何があっても壊れない。
そんな現実とかけ離れた、愚かしくもきれいな幻想を。
そんな本物を、俺も彼女も求めていた。
以前、陽乃に中学時代の折本との関係を聞かれて、「本物とは言わない」と言っていました。それに対しての比企谷にとっての本物の定義がこれですね。確かに、折本とは”通じ合っている”とは言えなかったので本物とは言えないですね。
彼女というのは雪ノ下のことですね。雪ノ下「わかると思っていた」という発言からは、比企谷と同じような本物を追い求めていて、いつの日からか奉仕部の関係を本物だと思えてきたけれど、今回の件で雪ノ下が本物ではなかったと認識したことがわかります。
廊下を一人で歩く姿は、まだ奉仕部としての関係性を回復できていないことを表しているように感じます。
奉仕部としての活動は完了しましたが、彼と彼女たちの関係は変わってしまったままなようですね。
今回はこの辺で
さようなら。