高校数学ⅡB 積分「積分の計算が微分の逆になる理由」
動画
BGMあり
BGMなし
積分より微分
積分記号の意味は👇
積分を計算するには微分の計算が必要です。ですから、この積分の計算に入る前にはせめて与えられた関数を微分することくらいはできるようにしておきましょう。
さて、今回紹介するのは積分の計算です。
前編の動画では積分の表し方を紹介しました。
では次に計算方法なんですが、学校などで積分の授業を受けたことがある人なら、微分の逆として理解している人もいるかと思います。
それに、この動画のでも微分の計算を使うということを何度も言っていますが、では、なぜ積分の計算をするときに微分を使うのでしょうか?
積分と微分の関係
面積の変化量
この積分の式から赤い部分の面積は~です。では、この面積を少し変化させましょう。どうするかというと、tをhだけずらします。つまり、aからt+hまでの面積を考えます。
図で言うと、赤い面積と青い面積の和を考えます。
この面積は、積分の式を使うってS(t+h)と書けるわけです。tだった部分がt+hになっていることに注意してください。
この~は赤と青の合計の面積なので、
青い部分だけの面積はS(t+h)ーS(t)と表すことができます。
ここで、青い部分の図形をよく見てみると、
左端がtなので左の辺のたかさはf(t)、
右端がt+hなのでその高さはf(t+h)になります。
面積を推測
先ほどこの愛部分の面積をS(t+h)ーS(t)と表しましたが、このままではわかりにくいので、大体の見当をつけます。
そのためにまず、この青い台形の面積より小さい緑色の四角形を考えます。
次に、この青い台形より大きい紫色の四角形を考えます。
大小関係で言うと、このように緑の四角形が一番小さくて、次に青の台形、そして一番大きい紫の四角形の順になります。
緑も紫も四角形なので縦と横が分かれば、面積を求めることができます。まず、それぞれの図形の左端と右端のx座標がそれぞれtとt+hなので、横幅はhになります。
続いて縦の長さですが、このように補助線を引くとわかりやすいかもしれません。
緑の四角形は青い台形の低いほうの縦の長さと同じで、
紫の四角形は青い台形の高いほうの縦の長さと同じです。
つまり、緑の縦がf(t)、紫の縦がf(t+h)になります。
なのでそれぞれの面積は
緑がhf(t)
紫がhf(t+h)
になります。
あとはこの不等式を整理していきましょう。
まずは、hで割ってください。次に極限をとってhを0に近づけます。
そうすると、右辺はf(t)になります。
真ん中の式をよく見ると、右下の動画で紹介している微分係数を求めるときにやった式になっているんですね。
つまり、真ん中の極限の式はS’(t)と書くことができます。
さて、この不等式なんですが、両サイドがf(t)になっています。
例えば、3以上3以下の数って言われたら3しかないですよね?
なので、この不等式も同じことができます。
数字でできることは文字でもできるのです。
この不等式はf(t)で挟まれていますから、
S’(t)=f(t)と言うことが分かります。
ここで思い出してもらいたいことが、
S(t)はx=a~tまでの面積だったということです。
そして、今その面積の関数S(t)を微分するとf(t)となることが分かりました。
ですから、この積分を求めるには、先ほど求めたS’(t)=f(t)より、
微分してf(t)となる関数を求める必要があります。
そして、このf(t)のことを「f(t)の原始関数」と言います。
積分の計算
なので、今微分してf(t)となる関数をF(t)とすると、
f(t)とF(t)はF’(t)=f(t)という関係になっています。
ここで、注意点なんですが、
F(t)を微分すると定数項は0になってしまうんです。
例えば、x^2とかx^2+4とかx^2-7は
微分するとすべて2xになります。
赤い字の定数項は消えてしまうわけです。
ですから、原子関数と言うのは一つではない
ということが言えます。
なので、先ほど求めたこのS’(t)=f(t)と言う関係から、
f(t)の原始関数をF(t)としているので、
S(t)=F(t)+Cこのような式を導けます。
ここで出てきているCとは積分定数と言われるもので、単純に言うと定数項です。積分したときに出てくる定数項だから特別に積分定数と言う名前がついているだけで、その辺の定数項となんら扱いは変わりません。
この積分定数が出てくる意味は、先ほども言ったように、微分するとこの定数の部分は消えてしまうので、実際どんな数なのか分からないのでCとしているわけです。
さて、ここまででこの積分のややこしい式が、
シンプルにS(t)=F(t)+Cと表すことができました。
ですが、このままでは積分定数のCが分からないので、
面積を求めることができません。
ですから、このCを特定する必要があります。
求め方は意外に単純で、t=aとしましょう。
このとき、積分の式は👆ようになります。
注目すべきはインテグラルの上下につている文字です。
ここは求めたい面積の幅を書くのですが、
今回はaからaまでになっていますので、幅が0になっています。
つまり、幅がない面積は0と言うことで、
この積分の値は0になります。
次に、t=aにしているわけなのでS(t)=F(t)+Cの式も
S(a)=F(a)+Cと書けます。
ここで、先ほど求めたS(a)=0を代入すると
0=F(t)+Cこのような式になります。
あとは、この式をC=について解くと、
C=-F(a)として求まるわけです。
まとめると、積分定数CがーF(a)で表されているので、
この積分の計算式もS(t)=F(t)ーF(a)と表すことができます。
以上が、積分の計算方法です。
積分の計算記号
あとは記号の話なんですが、
積分の計算をするときに、F(t)-F(a)を
このような[F(x)](^t)(_a)で表します。
インテグラルの上下の文字を
カッコの後ろに書かくことも
忘れないようにしましょう。
また、この積分の説明の中で出てきた
原始関数を求めるときの式を
👆のようにインテグラルの上下に何も書いていない
記号であらわすことにしました。
つまり、インテグラルの上下に何か書かれていれば
定積分で面積の計算
原始関数を求める計算
となります。
まとめ
ちなミニコーナー
同じ「和」と言う意味でも
区別して使っているわけなんですね。
それでは、
さようなら。