やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 8話(後半) 考察
やっはろー
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」2期8話(後半)
の考察をしていきます。
以下多分にネタバレを含みます。
依頼
改まって奉仕部に来た比企谷。ノックをして入ってくる姿に雪ノ下と由比ヶ浜はびっくりしているようです。入ってきた比企谷に冷たい雪ノ下を見て由比ヶ浜がさらにびっくり。
雪
「・・・無理してこなくてもいいと言ったじゃない」
雪ノ下のセリフはショッピングモールで出くわしたときと同じですが、一見、比企谷のことを考えていっているように見えて、雪ノ下自身が来てほしくないと思っている印象ですね。
入室した比企谷はいつもの席ではなく依頼者の席に座り、依頼をします。ですが、雪ノ下は否定から入っていましたね。依頼の内容を聞いた後の雪ノ下の言葉が印象的でした。
雪
「・・・あなた一人の責任でそうなっているなら、あなた一人で解決すべき問題でしょう」
このときの雪ノ下は何といえば比企谷の依頼に協力してくれたのでしょうか。そもそも協力などするつもりはなく、ただ依頼を拒否する理由を言っただけなのでしょうか。
ショッピングモールでの会話にあってように、「できているつもり」でいた雪ノ下にも責任があると言えば返答は変わっていたのかもしれませんが、奉仕部の3人の関係が回復につながるとも思えません。
平塚先生の言葉を受けて夜通し考えた比企谷の覚悟は雪ノ下に伝わっていなさそうですね。もちろん、雪ノ下はそんなことがあったなんて知らないし、ましてや比企谷が自分の欲しいものと向き合おうとしてることなんて知る由もないわけですから、当然といえば当然ですね。
雪ノ下が依頼を退けたことを素直に受け入れて帰ろうとする比企谷を雪ノ下が止めます。いつものように言葉は単純で感覚的ですが、必死に伝えようとしていました。
由
「おかしいよ」
(中略)
「あのね、ヒッキー一人の責任じゃないんだよ考えたのはヒッキーだし、やったのもヒッキーかもしんない。でも、あたしたちもそうだよ。全部、ヒッキーに押し付けちゃったの・・・」
(中略)
「違わない。こうなってるのってヒッキーだけが悪いんじゃなくて、あたしも、そうだし・・・」
ここで2期2話の偽装告白前の様子を振り返ると。
最初の「おかしいよ」は言い方が気に入ったので載せてみました。アニメで東山奈央先生の勇姿をご覧ください。”勇姿”って使い方あってるのか?
戸部の依頼の解決策があることを伝えると、2人は「任せる」と言って深くは聞いてきませんでした。おそらく由比ヶ浜のいう「押し付ける」とはこの時のようなことなのではないでしょうか。
依頼が来れば全員で考えて解決策を模索しますが、最終的な実行部隊は比企谷に任せてしまっていたということを悔いている。だから、自分たちにも責任があると言っているように思います。
そして「こうなっている」というのは今の奉仕部の空気のことを指しているのでしょう。それぞれが違和感に気づきながらもそれに触れないように過ごす日々になってしまったのには、それぞれに責任があるということですね。
由比ヶ浜の言葉に雪ノ下も反応せざるを得ません。喧嘩のような雰囲気になっていました。とはいっても、由比ヶ浜が雪ノ下にビビっているので一言で泣きそうになっているんですよね。・・・対等な喧嘩とは言えないな。
2人の言い分は「そっちが言わないから」というものですね。つまり、人のせい。「相手が言わなかったからわからなかった」という理由は使いすぎると開き直っているようにも見えます。反対に「聞かなかったから言わなかった」というのも同じようなものですね。
比
「・・・いわれても、たぶん俺はそれに納得できないんじゃないと思う。なんか裏があるんじゃないかって、事情があってそう言っているんじゃないかって勝手に考えるかもしれない」
こう考えちゃうときありますよね。
でも今考えると、相手に言われたことを受け入れられずに疑ってしまうのって「自分に対してこんなこと言うはずがない」とか考えてるからだと思うんですよね。つまり自意識過剰。
そうやって疑うから何を言われても素直に受け入れられない。また厄介なのが、その自意識を乗り越えられたときの反動が大きくなる。言った相手はそこまで本気ではなかったのに、自意識のせいで勝手にその言葉の持つ意味が増幅されて、大きな意をもってしまう。だから勘違いという結果に終わる。
そんな経験を繰り返しているうちに、自分を戒める方向へと走ってしまうのではないかと思います。まぁ、戒めている時点で根本的な問題は解決していないですけどね。
続きの比企谷の名言がこちら。
比
「言ったからわかるっていうのは傲慢なんだよ。言った本人の自己満足、言われた奴の思い上がり・・・、いろいろあって、話せば必ず理解しあえるってわけじゃない。だから、言葉が欲しいんじゃないんだ」
(中略)
「俺は、本物が欲しい」
これは相当な名言ではないでしょうか。この言葉を紹介したいがためにこのブログを書いているまである。空気読んでないけど、「言えばわかる、言わないとわからない」ってピタットハウスのリズムに乗せて歌える?
言えば、言いさえすれば自分の言いたいことが伝わると思っているのは確かに傲慢ですよね。伝える相手にも事情があるかもしれないし、そもそも受け入れる準備ができていないかもしれない。そんなことはどうでもいいから聞けっていうのはまさに傲慢。
同じく、言ってくれないとわからないっていうのは、言ってくれたら分かったという言葉の裏返し。聞いた本人の思い上がりとは的確に表現しています。
なんで、言わなかったのか? 言わないことには理由があったのかもしれない。そう考えられるほうが視野が広いと思います。
もし、今までさんざん言ってきたにもかかわらず分かってくれなかったのなら、次から言わないでおこうってなりますよね。もしかしたら、自分に対して何も言ってくれない人は”この人に言うこと”に意味がないと考えているのかもしれません。
今まで言ってもわかっていなかったのにもかかわらず、自分はわかると、今までわかってきたと思いあがっている人に言うことは何もない。「何で言ってくれないの?」なんて聞かれても何も言いたくないし、「あなたに言ったって分からないでしょ?」なんてことすら言いたくない。だったわからないから。どうせ「そんなことない」って言われるのがオチだから。
以前、これと同じような状況になったときは「あなたの言っていることは理解できる」と言われたことがある。私の主張は「理解できないし、してこなかったから言わなかった」というものなのに第一声で「理解できる」が来た時点で聞くに徹するを選んだ。それしかなかった。
もし、逆の立場ならどうだろう。相手の話を聞いているつもりで、わかっているつもりでいた自分が、実は何もわかっていなかったとしたら? それを相手から突き付けられたとき同じように「理解できる」というだろうか? 願望としてはそんなことは言いたくない。そんな事実が発覚したら落胆するかもしれないし、言葉が出てこないかもしれない。
もしかしたら、今まで理解していたと思ってきたことを意味のない時間だったとして否定するかもしれない。
それが、雪ノ下にも当てはまりそうな気がする。
雪ノ下も困惑してどう振舞っていいかわからずに、部室を飛び出すしかなかったのかな。結構な勢いで扉を閉めていたので相当な動揺がうかがえます。
これまでに見せたことのない雪ノ下の姿に残された二人は少しの間困惑していました。とくに比企谷が。でも由比ヶ浜はすぐに動き出し比企谷に雪ノ下を追いかけるように促していました。その時も主題歌につながるセリフがありましたね。
由
「わからないで終わらせたらダメなんだよ! 今しかない、あんなゆきのん、初めて見たから! だから、今行かなきゃ・・・」
ここでも「今」というセリフが出てきましたね。比企谷にとっては平塚先生に続いて2回目ですから、ほかの人が聞くよりも大きな言葉に感じたことでしょう。
雪ノ下が取り乱して出ていくことも初めてですが、由比ヶ浜がここまで感情を表に出すのも初めてではないでしょうか。もっとも、事の発端は比企谷が初めて自分の思いを告げたことなんですけどね。
そして2枚目の画像。握った比企谷のてがほどけたときの由比ヶ浜の感情をがあらわになっています。自分の持てる言葉のすべてを尽くして伝えたにもかかわらず、手をほどかれた瞬間の暗闇に突き落とされたような感覚が由比ヶ浜の表情に表れています。
ただ、比企谷としても理由があって由比ヶ浜の手をほどいたようですね。その理由はラノベでご確認ください。
その後はちゃんと雪ノ下を追いかける2人です。部室を出たところにいろがはがいたのですが、聞かれてないよね? 傍から聞いているとけっこう恥ずかしい内容ですよ、これ。ま、一番恥ずかしいのは、聞かれていたんだと分かった瞬間なんだろうけどね。
卑怯
部室を出て行った雪ノ下を追いかけて廊下でのやり取りです。比企谷の求める「本物」とは何なのか。おそらくはこの場にいる全員がわかっていないのだと思います。
雪
「あなたの言う本物っていったい何?」
由
「あたしも実はよくわからなかったから・・・」
(中略)
「あたし、今のままじゃやだよ・・・」
雪
「なぜあなたが泣くの・・・。やっぱりあなたって、・・・卑怯だわ」
その関係が本物だったとか偽物だったとかは後になってみないとわからない。比企谷の考えていたような、すぐに壊れてしまう関係や取り繕わないと保っていられない関係が偽物なのだとしたら、その関係の終わり方を見ないことには判断ができない。
偽物の反対が本物だとするならば、その関係が偽物でないと証明できない限り本物とは言えない。でも、偽物かなんて終わらないとわからない。なら結局本物か偽物かの判定なんて無意味なんでしょう。
考えすぎるからドツボにはまってしまって一歩踏み込めなかったり、相手の言葉や表情の裏を読んだり、自分の意見を言えなかったりする人たちがいる。
そのなかでも、由比ヶ浜はほかの2人の間に入って調整してくれていた、そして今回も代弁してくれている。
最後の雪ノ下の「卑怯」という言葉は部室でも由比ヶ浜に向けられていましたが、今回はまた違う意味ですね。
部室での「卑怯」は今まで黙認してきたことをいまさら言うのかという意味でしょうが、今回のは感情をあらわにして、自分の言いたいことを伝えることができる由比ヶ浜をうらやましく思う意味での「卑怯」なのではないでしょうか。
おそらくは由比ヶ浜の言葉を聞いて、涙を見て雪ノ下の決心が固まったのでしょう。依頼を受けることを決意していました。
最後の比企谷の言葉が震えていることを考えると、比企谷も泣きそうになっていたのでしょう。由比ヶ浜と雪ノ下が泣いているときに顔をそらしていたことからもそのことが窺えます。
それと、久しぶりに楽しそうなエンディングに戻っていましたね。なによりです。
では、さようなら。